2024年6月28日金曜日

2024.6.28 神戸大国際文化学研究科外国語教育コンテンツ論コース2024年度第2回集団指導

終了しました。ポスター発表の魅力は、発表者と聴衆の間でたくさん話せることです。こうした集団指導をほぼ隔月で行っているのは当コースの大きな特徴です。所属する学生さんが狭い専門に閉じこもることなく、他分野の教員・院生の助言を聞きながら、各自の修論・博論の完成に向けて確実にステップアップしていける仕組みになっています。

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神戸大学大学院国際文化学研究科外国語教育コンテンツ論コース(代表:陳暁)では、下記のとおり、2024年度の第2回コース集団指導を開催します。大学院進学を考えておられる方を含め、多くのみなさまの聴講を歓迎します。なお、学外からの参加の場合は、事前に石川(iskwshin@gmail.com)までご一報ください。

                  写真:神戸大鶴甲第1キャンパス


                     記

日時: 2024年6月28日(金)10:40~12:10
会場: 神戸大学国際文化学研究科鶴甲第1キャンパスD503教室(※昨年度と異なります)発表形式:ポスター発表

プログラム
10:40~11:20 A組 陳迪・岡本・飯島・石居・魏・尾崎・陳俊彬
11:20~12:00 B組 中村・廉・Shimamoto・春山・牟・李
12:00~12:10   コース教員会議

2024年度コース代表の陳暁先生より開会のことば


D3
中村弘子
日本人大学生の性格・情意要因が英語発話時の韻律的特徴に与える影響 ―生理学的および音響学的考察―
【概要】今回の発表では、情意要因がセンテンスレベルでのピッチレンジに与える影響に焦点を当てる。特にTOEICスピーキングテストの高いグループと低いグループ別に情意要因がピッチレンジに与える影響について分析した。



岡本真砂夫
英語プロソディ指導の縦断的研究:小学校教室での実践から
【概要】自由回答文における音響音声分析を完了した。2元配置分散分析より、文のピッチレンジ、名詞のピッチレンジ、fluency、Focal prominence について、学年と学期の交互作用に有意な差が見られた。文や名詞の種類によって有意な差が表れた可能性について検討する。



陳迪
中国語を母語とする日本語学習者の漢語動名詞使用に対する意識調査に向けた基礎分析ーアンケートフォームの開発ー
【概要】学習者にとって望ましい漢語動名詞の指導システムを考案するため、中国人日本語学習者を対象に、漢語動名詞の習得に関する意識調査を行う。本発表では、正式な調査に先立ち、アンケートフォームの開発を試みる。



D1
飯島真之
日本人英語学習者による一・二人称代名詞使用: ICNALEの英作文モジュールを用いたアジアの地域別比較
【概要】本研究では、アジア圏国際英語学習者コーパスICNALEの英作文モジュールを使用し、日本人英語学習者の一人称代名詞、二人称代名詞の使用実態を、大学生英語母語話者及び、アジアのEFL圏地域の学習者と比較することで考察する。



廉沢奇
日本語オノマトベの形態パタンと具現形は全部で何種存在するか?ーBCCWJとCEJCを用いた網羅的分析ー
【概要】本研究では、既存のオノマトペリストから 72 種の形態パターンを抽出した上で、パターンマッチングの手法によって BCCWJ と CEJC に含まれる全データを調査し、実際に出現するパタンの数(61種)、および、それらに合致する具現形の数(2198語)を特定し、今後のオノマトペ研究の基礎資料になるものと考えられる。



Shimamoto David Ryo
Display and Referential Questions: Addressing Problems of Acceptability in Pre-task Responses
【概要】Display and referential questions are two resources for activating learners' schemata during pre-task activities. This presentation seeks to determine how problems of acceptability are dealt with when learners respond to these questions. Analysis explores the influence of epistemics on the sequential organization of pre-task interaction.



M2
石居史帆
Identity-in-interaction in L2 Japanese Talk: Epistemic Stance and Identity Categories
【概要】日本人と日本語学習者の相互行為における認識的スタンスについて、その特徴を考察する。またアイデンティティとの関係性についても考察する。



尾﨑祐真
ユーザー視点から見たツールの使用フロー ~実験ツールの全体像と操作手順の解説~
【概要】本発表では、実験で使用するツールの全体像とユーザーがツールを使用する際の具体的な手順について説明する。まず、ツールの主要機能とその設計意図を紹介する。次に、ユーザーがどのようにツールを操作するかをステップごとに解説する。また、別研究の予備実験から得られたフィードバックに基づき、操作手順の改善点についても言及する。最後に、今後のツールの改良の方向性について述べる。



春山洸陽
Respecifying Accommodation in L2 interaction: Interactional Competence of Relative Expert Speakers
【概要】国際学会で新たに得た知見をもとにL2会話における英語熟練者の初級学習者の理解促進のためのInteractional Competenceの発達について再分析を行い、そのデータから先行研究での知見に新たな視点を加えることを提案する。



M1
魏婧云
中国語母語の日本語学習者による「A(っ)Bり」型オノマトペの使用実態―日本語母語話者との比較から―
【概要】本研究は、各種のオノマトペ形態のうち、ABAB型に次いで頻度が高く、かつ、中国語に同様の形態が存在しない「A(っ)Bり」型オノマトペに注目する。CLJとJNSが多用する「A(っ)Bり」型オノマトペ語形や、「A(っ)Bり」型オノマトペの品詞用法を調査する。



牟虹妮
中国語母語の日本語学習者による「と+動詞」の使用実態―JNS /CLJ差に注目しー
【概要】本研究では、I-JASの発話データを用い、日本語母語話者(JNS)と中国語母語の日本語学習者(CLJ)による「と+動詞」表現の使用実態を調査した。 まず、全体頻度について言うと、JNSの平均使用量は50.68回、CLJの平均使用量は22回で、CLJの過少使用が確認された(p<.001)。研究では、あわせて、「と」の機能別頻度調査や、用例の分類などを試みた。本研究で得られた結果は、CLJを対象とする日本語教育における助詞指導の改善に一定のヒントになると思われる。



李思帆
A Synthesis of Literature Reviews on the Practicality of TRPG
【概要】This article contains mostly the summary of literature review on the previous appliance of TRPG on class or as off-class activities.



M特別研究学生
陳俊彬(北京外大M2)
話し言葉における中国人日本語学習者によるアスペクト標識「ている」の使用実態 -I-JAS と B- JAS の統合分析の視点から-
【概要】「ている」はアスペクト標識の一つとして多様で複雑な用法を持っている。初級段階から導入される文法項目であるにもかかわらず、初級・中級レベルの学習者だけでなく、上級学習者の使用にも問題が散見される。「ている」の研究はすでに広くなされているが、多くは横断データを用いたもので、かつ、書き言葉の分析が中心であった。そこで、本研究は、横断データと縦断データを統合解析するという新しい方針のもと、話し言葉における中国語母語の日本語学習者(CLJ)による「ている」の使用を分析した。その結果、(1) CLJ が使用する「V+ている」のタイプ数とトークン数はともに学年進行につれて線形的に増加すること、(2) 4年目の時点でタイプ数は母語話者(JNS)に近接すること、(3) トークン数は JNS に届かないこと、などが明らかになった。これらの知見をふまえ、今後は、学習者の「ている」習得プロセスのモデル化を試みる予定である。