2024年11月27日水曜日

神戸大学国際文化学研究科外国語教育コンテンツ論コースの紹介

神戸大学大学院国際文化学研究科グローバル文化専攻外国語教育コンテンツ論コース

2024年4月26日、第1回集団指導後の撮影

【コースの紹介】
 神戸大学大学院国際文化学研究科外国語教育コンテンツ論コースでは,新時代の外国語教育の創造に主体的に参画できる人材育成を目指し,外国語教育の内容・方法・展開に関わる研究を総合的に行っています。
 当コースでは,言語学(コーパス言語学・認知言語学・語用論・音声学・文法学)と教育学(授業論・教育工学)の学問的基盤をふまえつつ,とくに,教育現場での実践的展開を見据えた研究を重視しています。
 本コースにおいて外国語教育を取り巻く諸問題に多面的にアプローチする能力を付けた修了生は,国内外の教育機関等で活躍しています。本コースは,学部時代の専門に関わらず,外国語教育を通して社会のグローバル化に貢献しようとする意気込みにあふれた学生の受験を歓迎します。

【コース指導の特徴】
 閉鎖的な徒弟式の指導に偏らず,コース教員の多様な専門を生かした集団指導を特徴としています。コース学生は,主指導教員によるゼミのほか,年間5回の「コース集団指導」において,コース所属の教員全員から指導を受け,各自の研究を深めていくことができます。「コース集団指導」は本格的な学会発表の予行の場でもあり,自分の専門をわかりやすく発表するプレゼンテーション技術を磨くこともできます

集団指導風景(学生全員がポスターを作成し、他の院生・教員とディスカッションする)

【コース教員】 (担当講義科目 専門分野)
石川 慎一郎 教授 (研究者紹介科研個人HP)  
 外国語教育内容論特殊講義II   応用言語学 
柏木 治美 教授 (研究者紹介科研個人HP
 外国語教育工学論特殊講義   教育工学、CALL
木原 恵美子 准教授 (研究者紹介科研個人HP
 外国語教授学習論特殊講義   英語の構文研究、認知言語学
グリア・ティモシー 教授 (研究者紹介科研個人HP
 第二言語運用論特殊講義   会話解析
佐藤 健 教授(研究者紹介科研個人HP)※2024/4着任
 外国語教育内容論特殊講義Ⅰ 応用言語学、ICT利用外国語教育
芹澤 円 助教(研究者紹介・科研・個人HP)
 言語対照応用論特殊講義Ⅰ ドイツ語学
陳 暁 講師(研究者紹介・科研・個人HP) ※2023/10着任
 外国語教育内容論特殊講義Ⅰ 中国語学

【コース修了生の進路実績(2007~2023年度)】
(後期課程)
【専任】近畿大学准教授,環太平洋大学准教授,大阪大学専任講師,広島国際大学専任講師,四川外国語大学専任講師,湖北大学専任講師,大阪工業大学特任講師,中南財経政法大学専任講師,山東科技大学専任講師、カタール大学専任講師
【非常勤】関西大学他非常勤講師,神戸大学非常勤講師,東京家政大学非常勤講師、神戸大学外国人特別研究員他

(前期課程)
(進学)神戸大学大学院国際文化学研究科博士後期課程、筑波大学博士後期課程
(就職)
【教育関係】神戸大学特命助教,兵庫県立大学助教,東京大学附属中等教育学校教諭、神戸大学附属中等教育学校教諭(2),神戸大学附属小学校教諭,兵庫県立高校教諭(2),滋賀県立高校教諭,神戸女学院中高等部教諭,沖縄県立高校講師,西大和学園中高講師,同志社女子中高講師,尼崎市立中学校教諭,神戸市立中学校教諭、神戸市外国語大学非常勤講師、神戸市高等工業専門学校非常勤講師
【企業等】(株)矢崎産業,(株)Sony Computer Entertainment, Taiwan,(株)三菱電機,(株)白鳩(インターネット通販),(株)日立ソリューション,(株)富士通、(株)Sony Global Manufacturing Corporation、(株)TSB(電子部品商社)上海支社ほか。

【研究分野で活躍する修了生】(50音順)(2024年4月1日現在)
《本コースは内外の大学教員を多く輩出しています。》

Amar, Cheikhna氏 
 カタール大学専任講師(ウェブサイト) ※本コースD修了(グリアゼミ)
井上 聡 氏 
 環太平洋大学教授(前副学長・学部長)(ウェブサイト)※本コースMD修了(石川ゼミ)
袁 園 氏
 中南財経政法大学副教授 (ウェブサイト)*本コースD修了(グリアゼミ)
岡田 悠佑 氏 
 大阪大学准教授(ウェブサイト) ※本コースD修了(グリアゼミ)
呉 琪氏
 筑波大学助教(ウェブサイト) ※本コースMD修了(朱ゼミ)
佐々木 恭子氏
 国立米子工業高等専門学校准教授(ウェブサイト) ※本コースM修了(石川ゼミ)
肖 錦蓮 氏
 華南農業大学外国語学部日本語学科専任講師(ウェブサイト) ※本コースM研究生、D修了(石川ゼミ)
隋 诗霖氏(ウェブサイト
 吉林動画学院(※単科私立大)国際交流学院日本語教師 ※本コースM研究生・M修了(石川ゼミ) 
鈴木 佳奈 氏 
 広島国際大学准教授(ウェブサイト)※本コースD修了(グリアゼミ)
張 昆 氏 
 四川外国語大学専任講師 ※本コースMD修了(朱ゼミ)
張 晶鑫氏
 湖北大学副教授(ウェブサイト) ※本コースD修了(石川ゼミ)
陳 昌柏 氏 
 山東科技大学外国語学院 研究生导师(ウェブサイト)※本コースD修了(朱ゼミ)
鄧 琪 (邓琪) 氏
 東北大学(秦皇島キャンパス)専任講師(ウェブサイト) ※本コースMD修了(石川ゼミ)
中西 淳氏
 大阪工業大学講師(ウェブサイト) ※本コースMD修了(石川ゼミ)
Zachary Nanbu氏
 同志社大学グローバル地域文化学部助教(ウェブサイト) ※本コースMD修了(グリアゼミ)
李 楓 氏 
 西安理工大学准教授(ウェブサイト)※本コースMD修了(石川ゼミ)
渡邉 綾 氏 
 福井県立大学准教授(ウェブサイト)※本コースD修了(グリアゼミ)


◎大学院(博士前期課程・後期課程・研究生)志望者の方へ
当コースは,受験前の教員への事前相談を必須化しています。師事したい教員がいれば,直接,メイルで連絡をとってください。

【コース関連教員】
(名誉教授)
井口 淳  名誉教授(英語語法学・英語辞書学)Researchmap
沖原 勝昭 名誉教授(英語教育学・応用言語学)Researchmap 
枡田 義一 名誉教授(ゲルマン語文法研究)Researchmap 神戸日独協会会長
朱 春躍 名誉教授(中国語音声学)Researchmap
大和 知史 名誉教授(英語教育学) → 現 関西大学教授 Researchmap

 (転出教員)
西出 佳代 講師 → 現 金沢大学准教授 Researchmap
浅野 友紀 講師 → 現  北海道大学准教授 Researchmap
大和 知史教授 → 現 関西大学教授 Researchmap


【学生研究テーマ】
(博士論文)第2言語使用アイデンティティ,小学校英語指導者資質診断テスト開発,会話における他者起源修復,中日同形方位成分,会議インタラクション,日本語複合動詞,英語基本動詞のコーパス分析,漢語サ変動詞のコーパス分析,日本語オノマトペ分析、会話分析

(修士論文・修了研究レポート)英語強意詞,英語コロケーション,英語使役動詞,英語起動表現,ドイツ語動詞の自他,日本語カタカナ語,シャドーイング,フォニックスルール,Focus-on-form発音指導,バイリンガル話者会話分析,英語前置詞コーパス分析,終助詞「よ・ね」の音調分析,日本語複合動詞「~あう」研究他


【Q&A】
Q:どのような言語が研究できますか?
A:英語,日本語,中国語,ドイツ語については専門スタッフがそろっています。また,このほかの言語についても,一般言語学および言語教育学の観点から研究指導を行うことが可能です。

Q:学部時代に外国語学を専攻していなかったのですが志願できますか?
A:これまでの在籍生の学部時代の専門は,言語学・言語教育学のみならず,文学・法学・経済学などさまざまです。語学力と語学教育への熱意があれば,大学院において新たに外国語教育の研究を始めることもじゅうぶん可能です。本コースでは,導入講義を体系的に開講しているので,これらの履修により,2年間で修士レベルの知識や分析スキルを身に着け,さらに,後期課程で研究を深めることができます。

【過去のコースメンバー写真】
外国語教育コンテンツ論コースメンバー(2019/4/26撮影)

外国語教育コンテンツ論コースメンバー(2020/1/31撮影)

外国語教育コンテンツ論コースメンバー(2021/1/8キャプチャ)

外国語教育コンテンツ論コースメンバー(2024/2)






  







2024.11.29 神戸大学国際文化学研究科外国語教育コンテンツ論コース2024年度第4回集団指導

外国語教育コンテンツ論コースでは下記の通り、集団指導を実施します。学内外の皆様の聴講を歓迎します。なお、学外者で参観を希望される方は、前日までに、石川(iskwshin@gmail.com)までご連絡ください。


第4回集団指導プログラム

●日時:2024年11月29日(金)10:00~12:00

●場所:神戸大学鶴甲第1キャンパス D503教室

 

●プログラム

D1  口頭発表(発表時間10分、質疑応答5分)

飯島真之   10:00~10:15 司会:Shimamoto
「日本人英語学習者のスタンス表出傾向:MATによるレジスター次元・言語特性別スコアを用いたアジアのEFL圏6地域の比較」
要旨:Biber(1988)が示した現代英語テキストの6レジスター次元、および各次元に関与する多様な言語特性に基づき、日本人英語学習者のスタンス表出の全体像を、他のアジアのEFL圏5地域の学習者や大学生英語母語話者と比較することで考察する。


廉沢奇        10:15~10:30 司会:飯島真之
「オノマトペ標識の出現パタンはジャンルと関係あるか?ーBCCWJとCEJCを用いた分析ー」
要旨:本研究では、オノマトペ標識(反復、促音、撥音、長音など)に焦点を当て、その出現パタンとジャンルとの関連性を明らかにすることを目的とした。結果として、オノマトペ標識属性の連続変化モデルが提案され、今後のオノマトペ研究における基礎資料としての価値を持つことが示唆された。


David Shimamoto  10:30~10:45 司会:廉沢奇
「Understanding written instructions: Task instruction cards as a resource for L2 repair」
要旨:Adopting a conversation analytic approach, this presentation examines instruction-giving sequences at an experiential language-learning institution, where “mission cards” are used to provide task instructions to learners. Analysis focuses on instances of repair when learners demonstrate understanding of their tasks by producing verbal formulations of their written instructions. 


M2  口頭発表(発表時間10分、質疑応答5分)

尾﨑祐真 10:45~11:00 司会:石居史帆
「英語学習支援システムにおけるフィードバック方式の改善と段階的学習機能の実装」
要旨:前回指導でご指摘いただいた「会話中の詳細なフィードバックによる対話の中断」という課題に対し、会話活動中は短めのフィードバックにし、詳細なアドバイスを、ログ記録として活動後に確認できるようにするという改善を行った。また、「応用的な活動を追加してみるのはどうか」というご意見を受け、4体のキャラクターにそれぞれ異なる役割を持たせ、基本練習から応用練習まで段階的に学習できるように修正を行った。本発表では、これらの改善点の詳細と、実装したシステムの動作結果について報告する。


春山洸陽     11:00~11:15 司会:尾﨑祐真
「Learning on the Periphery: How peripheral participants adapt shared interactional resources in L2 conversation」
要旨:TGGのRole-play taskにおいて、周辺参加者として共有した相互作用資源をその後の自身のタスク活動においてどのように活用するかについてGoffman (1981)の提唱したParticipation frameworkをもとに分析した結果について発表する。


石居史帆     11:15~11:30 司会:春山洸陽
「Identity-in-Interaction in L2 Japanese Talk: Gaze, Identity and Participation Framework」
要旨:L2日本語会話における視線とアイデンティティ・カテゴリーの使用について分析した。また、参与者枠組みとの関係についても分析した。


ポスター発表(M1 +M特別研究生 + D3)11:30~12:00

D3 岡本真砂夫
「英語プロソディ指導の縦断的研究:小学校教室での実践から」
要旨:第3章「パイロットスタディ」,第4章「定型文の音読課題」,第5章「インタビュー課題への応答」,各章それぞれの結果,コロキアムⅢでいただいた指導,教室で実施した実践について整理しました。


M1 魏婧云
「コーパスに基づく類義オノマトペの意味差の考察 -「ゆっくり」と「じっくり」を例に-」
要旨:日本語のオノマトペは多くの場合、意味が曖昧で明確に定義することが難しい。その中でも、意味が似通った類義オノマトペは特に日本語学習者にとって習得が困難である。「A(っ)Bり」という共通の構造を持つ「ゆっくり」と「じっくり」もその一例である。今回は、「現代日本語書き言葉均衡コーパス」の9ジャンルと「日本語日常会話コーパス」の4ジャンル、合計13ジャンルにおいて、両語の頻度と共起動詞をコーパス分析を用いて調査した。これらの知見は、類義オノマトペの学習指導において有益な参考となることが期待される。


M1牟虹妮
「現代日本語における「と+する・思う・言う」の使用実態―書き言葉・話し言葉の解明―」
要旨:本研究では、「と+する」の用法を対象に、既存の辞書記述を確認し、コーパス分析を通じて実態を明らかにし、より適切な辞書記述の改善案を提案する。、


M1李思帆
「Conversational preference in TRPG as a result of projectability」
要旨:Based on the characteristics of TRPG as a conversation-based activity, preference organization are constantly being made as a sign of "projectability" to shape the outcome of communication.


M2特研 黄悦斉
「コーパスに基づく類義の外来語・和語・漢語の用法差の解明 -「スタートする」「始ま(/め)る」「開始する」を例として-」
要旨:日本語には語種を超えた類義語が多く存在するが,その差異は必ずしも明確ではない(藤原・山下,2021)。本稿は,「スタートする(S)」「始ま(/め)る(H)」「開始する(K)」の3語を取り上げ,「筑波ウェブコーパス」を用い,使用頻度,共起主語,共起目的語等を計量的に調査した。